前回は後継者候補が家業を継ぐ理由、継がない理由についてデータを読み解いていきました。今回は実際にどのタイミングで継ぐことが決まったのか、円滑に承継を進めるために重要な要素についてデータを紐解いていこうと思います。

また、前回同様中小企業庁が発表している中小企業白書で使われている定義に従って、家業を継ぐことに対して前向きな後継者候補を「積極的後継者候補」、前向きでない後継者候補を「消極的後継者候補」と標記します。


目次

後継決定者となるには現経営者の影響が大きい

第2-2-62図は現経営者が何代目かと後継決定者がいつ後継者として認められたかを表しているグラフです。

引用:中小企業白書

それぞれ理由は様々なものの、このグラフからは2つのことが読み取れます。

1つはどの世代も少なくとも50%以上は事業承継の決定は現経営者の影響で決まっていることです。該当する選択肢については以下になります。

2つめは3代目以降の場合、「子供の頃から継ぐことが決まっていた」と回答した者の割合が高くなることです。前回の【驚愕】後継者が家業を継ぐ本当の理由【中小企業白書データから読む】で事業がなくなると困る人(取引先・従業員等)がいるからと回答した人が最も多かったですが、代を重ねれば重ねるほど影響範囲が広くなり、子供にも託さないとと思う経営者が増えていくのかもしれないですね。

事業承継にて苦労するのは後継者探しとその後の調整

以下第2-1-8図は事業承継の形態別に引き継ぐうえで苦労した点のデータです。

引用:中小企業白書

承継においても

など後継者とのコミュニケーションにおいて苦労するケースが多いようです。

後継者候補と経営者の間では事業承継に関する会話の頻度はそこまで多くない

第2-2-63図は、積極的後継者候補及び消極的後継者候補が現経営者と事業承継に関する会話頻度を表しています。

引用:中小企業白書

第2-1-8図のデータでは後継者とのコミュニケーションが課題になっていたにもかかわらず、事業承継に関する会話の頻度は積極的・消極的問わず50%以上が「あまりしていない」、「していない」と回答しています。会話を増やすことでコミュニケーションの課題が生じる可能性も下がってくるのではないでしょうか。

後継者候補と経営者の間では事業承継に関する会話の頻度は日常生活での会話量に比例する

第2-2-64図は候補者候補と現経営者の事業承継に関する会話頻度を日常生活の雑談の頻度別にグラフにしたものです。

引用:中小企業白書

日常生活の雑談をしていればしているほど、事業承継に関する会話も生じていることがわかります。日々の会話を増やしていくことが、事業承継に関して話しやすくなることにつながり、円滑な事業承継にもつながるのかもしれません。

第三者を交えて話すのも有効な手段

第2-2-65図は後継者が承継において現経営者とともに相談するのに適していると思う相手になります。

引用:中小企業白書

こちらの図からは「現経営者の親族」、「引き継ぐ可能性のある役員・従業員」を選択した割合が高いことが読み取れます。現経営者とだけでは引継ぎが円滑にいかなさそうな場合には第三者をも巻き込んで相談していくことも円滑な準備のために重要なポイントなのかもしれません。

今回は中小企業白書のデータから後継者として認められるタイミングと円滑な事業承継のために大事なポイントについて見てみました。

次回は後継者の課題は何を課題に思っているのかについて、データを見ていきたいと思います。是非、チェックしてみてくださいね!